【音速雷撃隊】あらすじと感想:松本零士の戦争まんが

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人間ドラマ

太平洋戦争のわびしさや、当時の狂気に触れてみませんか?

 松本零士先生の音速雷撃隊(ザ・コクピットシリーズ)は、太平洋戦争末期の日米両国の空気をうかがい知ることができます。

 本作中では未来ある若者がバッタバタと命を落としていくわびしさと、日米をはじめ世界中が狂気に見舞われていた時代が描かれています。

面白かったところ
  • 特攻機・桜花がなんかスゴイ
  • 一式陸上攻撃機やグラマンF6Fなど、兵器の書き込みがグッド
イマイチだったところ
  • 戦場の説明がないので、どのあたりの戦いかわからない

映像化されたりと、ザ・コクピットシリーズを代表する作品だよ。

概要

あらすじ

 桜花のパイロット・野中少尉はコクピットに座り、人間爆弾として射出される準備をしていた

 が、桜花を積んだ一式陸攻は、米軍航空機隊の攻撃を受け火だるまに。搭乗員の機転により、一人脱出&生還した野中少尉。

 基地に帰還して間もなく、翌日に再出撃することが決定。

 「必ず命中してみせる」と、意気込む野中少尉。

 「明日は敵機に体当たりしてでも、完全に護衛するよ…」と、決意を表明する護衛機パイロット。

 第二次世界大戦。世界中が狂っていた…。

登場人物

野中少尉
 桜花のパイロット。もともとはロケット工学を専攻していたが、何の因果かロケット特攻機を操縦することになる。最初の出撃で生還したことに、後ろめたさを感じている。

山岡機長
 一式陸攻の機長。部下たちとともに、野中を米軍艦隊まで運ぶ。気遣いのできるイイ男。

米軍パイロット
 F6Fに搭乗するエースパイロット。戦死した仲間を悼むナイスガイ。特攻機を使用する日本軍に強い怒りを感じている。

米軍艦長
 米軍空母の艦長。物語には大して絡まないが、最後に決めセリフを言う

やっべぇ時代だね。

物語の内容

チェリーブロッサム

 米軍空母の中では、その日の戦闘で亡くなった人たちを悼んでいた

 と、一式陸攻が妙な魚雷を乗せていたと話題になり、写真で確かめることになる。

 「これは…人間爆弾だ!!

 「チェリーブロッサム!!人間が操縦して飛行する、人間ミサイルだぞ!!

 時速1040キロ、火薬量1.2tの音速ロケット特攻機。

 一度発射されたら、F6Fでは撃墜不可能だという。

 米軍パイロットは人間爆弾というものに、強い嫌悪感を感じ、怒気を発した

実際の桜花は時速1000キロ弱だったみたい。

F6Fが時速600キロだから、それでも早いね。

敵も味方も狂ってる

 翌日、野中少尉たちは、戦闘機隊の護衛を受けて再度出撃。目指すは米軍艦隊

 と、さっそく艦隊を守る米軍航空機隊と接敵。戦闘が開始されるや、日本側の指揮官機が炎上するなど苦しい展開。

 野中少尉を乗せた一式陸攻も、右翼から噴き出たガソリンが引火して、火だるま状態になる。

 それでも山岡機長は、先へ先へと一式陸攻を押し進め、ついに米軍艦隊が見える位置まで到着する。

 「野中…あとはまかせたぞ…!!

 桜花を射出。

 三つのロケットエンジンすべてが点火された桜花は、米軍空母に突っ込み、大爆発を起こす。

 倒れこむ米軍艦長のもとに、原子爆弾が広島へ投下されたという報告が上がる

 「敵も味方も、みんな狂ってる…

やらなきゃ、やられる。

戦争が人を狂わせる所以(ゆえん)だよ。

登場する機体

ロケット

桜花

 日本海軍が開発した特攻兵器。

 ロケットエンジンを搭載し、最高時速は1000km弱におよぶ。自力では離陸できず、一式陸攻で敵艦に近づいてから発射するという運用手法を取る。

 初実戦では、昼間に大編隊で出撃するも全滅。それ以降は、夜間に小編隊で出撃する手法に変更。

 敵艦を撃沈するなどの戦果を挙げた。

一式陸上攻撃機

 日本海軍の主力攻撃機。

 戦艦を航空機だけで撃沈するという、ブレイクスルーを起こした。優秀な速度と航続距離でもって、日本軍に貢献する。

 しかし、太平洋戦争中期からは防御力の低さが露呈し、被害が激増。”ワンショットライター”という、不名誉なあだ名をつけられる。

 後期型になると防御・防火性能が改善され、米軍からは評価された。

グラマン F6F

 米海軍の艦上戦闘機。あだ名は、ゼロ戦キラー。

 高馬力と高い防御力を併せ持ち、一撃離脱と格闘戦の両方をこなした。

 日本からは”宿敵グラマン”と呼ばれ、かなり意識される。

 一方の米軍では、扱いがぞんざい。F4Uの保険で作られた機体ということで、無線自爆機に使われたり、海洋投棄されたりと不憫(ふびん)な存在になっている。

アニメ化されています(ザ・コクピット)

 本作は1993年に「ザ・コクピット」のタイトルでアニメ化されています

 製作はマッドハウス・ジャコム・ビジュアル80。

 声優陣がものすごく豪華で、緑川光さん・緒方賢一さん・堀内賢雄さん・藤原啓治さんという、そうそうたるメンバー。

 オムニバス形式で、他に成層圏気流と、鉄の竜騎兵が収録されています

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感想:桜花も原爆もあかん…

 本作が描かれたのは1974年。終戦から約30年が経った頃です。

 「彼らが生きていたら、いったいどんなことを成し遂げていただろう?」

 という松本先生からの問いかけでしょう。

 作中、桜花のパイロット・野中少尉は

 「もし戦争がなかったらロケット技師になり、30年もあれば月にロケットを飛ばしていた。きっと人の役に立つことをしてみせた。」と言っています。

 一方のアメリカ側でも

 「戦死したロバートはマンガの天才だった。あと30年生きていれば大マンガ家になっていたかもしれない。」とつぶやいています。

 これらのセリフを見ると、戦争で亡くなった数千万人の人々が、あと30年生きていたらどんなことを成し遂げていたのかと考えさせられます。

 戦争のわびしさと狂気を表現した名言だと思います。

松本先生も戦時に幼少期を過ごしていて、B-29を目撃しているよ。

松本先生も、戦死していた可能性があるんだね。

まとめ:日米双方の視点から描かれた戦争の狂気

 以上、松本零士先生の音速雷撃隊(ザ・コクピットシリーズ)でした

 桜花・パイロットの野中少尉は最初の出撃で死に損なうや、それ以降とにかく死に急ぎまくる。護衛の戦闘機パイロットも死に急ぐ。

 一方の米軍人たちは、チェリーブロッサムを運用する日本軍を「狂ってる」と言い放つも、自分たちも狂気の中にいて…。

 戦争に伴うむなしさと狂気が、日本とアメリカ双方の視点から描かれた名作だと思います



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