シンプルなホラー体験を、したいと思うことはありませんか?
できます。
そう、つのだじろう先生の亡霊学級ならね。
亡霊学級はホラー話、五作品を収録した短編集。恐怖新聞連載のきっかけにもなった、気合の入った作品です。どの物語も逸品ぞろい。
きっとすてきなホラー体験ができるでしょう。
1.ともだち
あらすじ
新しい学級委員に石原と三田さんが選ばれた。
放課後、理科実験室でおしゃべりする二人。
途中、三田さんがおいしいものでも食べよう、と言って取り出したのは解剖実験用のカエル。彼女は手慣れたふうにカエルの皮をはいで、石原に差し出してきた。
「どうぞ!ナマのまま食べるのがいちばんおいしいわ!」
三田さんは、そう言ってカエルにかぶりついた。
登場人物
三田さん
クラス一の美人で、勉強もできる優等生。しばしば記憶が飛ぶのが玉にキズ。
石原
顔も勉強も、並の中学生。三田さんと学級委員になれたのに、全くうれしそうじゃない。ホモかな?
守部八重子
ヤンデレ系幽霊。男子を友達に誘うも、振られると呪い殺してくるヤバいやつ。生前はボッチを苦に自殺している。
カエル、うめぇっ!
2.虫
あらすじ
二年A組の青野は昼食のとき、いつも弁当箱を隠しながら食べていた。
いじめっ子の山田は青野の弁当の中身が気になり、中を見せるよう強談。
「相手がきみならいいだろう…」
青野はそう言うと、山田の口の中におかずを一つ入れた。
山田がそれをかんだとたん、ブチっ!!という音と、生臭いニオイが口いっぱいに広がった。
その場で吐き出す山田。
口の中に入っていたのはアゲハチョウの幼虫。青虫だった。
登場人物
青野
ぽっちゃり系男子。小学生のころから山田にいじめられている。復讐の機会をうかがっていた。
山田
青野のクラスメートで、いじめっ子。女子のことを”焼き豚”呼ばわりする失礼な奴。
焼き豚はあかん。
3.水がしたたる
あらすじ
水野先生は、きれいな黒髪ロングヘアーを持つ、人気の先生。美人で優しく、生徒や同僚の先生たちからも信頼されている。
その日も、いつも通りの授業が行われる。
が、気づいたら水野先生の姿はなく。黒板の前には、水たまりができていた。
その後、実は水野先生が行方不明になっていることが判明。
それから五日後、学校のプールから水野先生の水死体が発見される。
登場人物
水野先生
中学校の先生。生徒思いの人物で、その愛情は亡くなってからも変わらない。たくさんの生徒にトラウマを負わせる。
小学生
近所に住む小学一年生。放課後に学校のプールで遊ぶも、おぼれてしまう。水野先生に救助されるも、先生は溺死。両親に叱られるのを恐れ、黙っていた。
水泳部員
水泳部所属の中学生。水泳大会でいいところを見せようとするも、一生もののトラウマを負う。
誰も幸せになってない…。
4.手
あらすじ
旧校舎の汲み取りトイレには怪談があった。
用を足しているとトイレの中から手が出てきて、中に引きずり込まれるという。
二年三組中島は生まれつき胃腸が弱く、しばしば旧校舎の汲み取りトイレに行っていた。
クラスメートの熊本はからかってやろうと思い、トイレの外に待機。そして中島がトイレの個室に入ると、お化けの被り物をつけ、窓からのぞき込む。
「うぁあああ」
中島の叫び声が聞こえる。が、間もなく声がやみ、静かになる。
熊本はトイレの中を見るが誰もいない。きっと窓から出ていったに違いない。そう言って熊本は帰宅する。
しかし、翌日、中島が行方不明になっていることを担任から知らされる。
登場人物
中島
胃腸の弱い中学生。トイレの怪談を聞いたときには、心底イヤな顔をしていた。
熊本
中島のクラスメート。中島が姿を消すや、トイレに落ちたのかもと思いいたるも放置。のちに天罰が下る。
ウンコを笑うものは、ウンコに泣くのさ!
5.猫
あらすじ
ある一軒家で火災が発生。その家で暮らしていたおばあさんと、ペットの猫数匹が亡くなってしまう。
それ以来、焼け跡にはたくさんのノラネコガ住み着くようになった。
ある日、学校帰りの少年は焼け跡で寝転んでいるクロネコを見つける。亡くなったおばあさんが特にかわいがっていた猫らしい。
少年はクロに石を投げつける。クリティカルヒット!
クロはそのまま死んでしまう。
後ろめたい気持ちで帰宅する少年。と、妹が黒い毛並みの子猫を連れてきた。
焼け跡で見知らぬおばあさんから、もらったのだという…。
登場人物
少年
近所に住む小学生。お猫さまに、石を投げつけるという非道をなす。改心したので許された。
クロ
おばあさんに可愛がられていたクロネコ。少年のいたずらにより、命を落とす。
おばあさん
猫好きなおばあさんで故人。愛猫を殺害した少年を改心させるため、夜にそっと布団に忍び込む。
おばあさんの添い寝が、一番のホラー。
ホラーとは…?
感想
一話20p~40pながらも、ちゃんとホラーしていて読みやすい。
ストーリーが王道的展開なので、先が予想しやすい。これを”ひねりがない”と思うか、”王道的ホラーでよい”と思うかで評価が変わりそう。
怪談や都市伝説が好きな人には、刺さると思う。
水がしたたるや手では、グロ目の死体も登場。虫では別ベクトルのグロ絵も出てくるので、苦手な人は注意です。
まとめ
以上、つのだじろう先生の亡霊学級でした。
学校を舞台にした、ホラー短編の珠玉集。つのだ作品が好きな人はもちろん、シンプルなホラーが好きな人も楽しめる逸品です。
コメント