戦場に咲いた男同士の友情に興味はありませんか?
松本零士先生のわが青春のアルカディア(戦場まんがシリーズ)は、まさにうってつけの作品です。
ww2末期。日独ともに敗戦濃厚の中、西ドイツの戦場で、ハーロックⅡ世と台場は運命の出会いを果たす。
一緒に過ごしたのはわずかな時間だったが、お互いが”生涯の友”と呼び合う、濃厚な物語が描かれている。
キャプテンハーロックと、トチローのご先祖様の物語だよ。
概要
あらすじ
空戦後、普段は使い慣れていないアウトバーンに着陸するハーロックⅡ世。
が、着陸失敗。機体は爆発炎上する。間一髪脱出した彼のもとに駆け寄ってきたのが、台場だった。
それ以降、二人は意気投合。
そして間もなく、最後の空戦が行われる。結果は、ハーロック機以外、全滅。
生き残ったハーロックⅡ世は、台場をスイスへ送り届けることを決意する。
登場人物
ハーロックⅡ世
ドイツ空軍所属の軍人。基地が陥落しようが、母国が敗戦しようが”おれは負けてない”と言い張る強気な人。
台場
日本からやってきた技術者。照準器開発がお仕事。小柄だが、ものすごくガッツのある人。
物語の内容
スイスへ台場を送り届けることを決意するハーロックⅡ世
しかし、被弾が原因による燃料漏れが発覚。
「最後の空戦で最大のミスを犯すとはな…」
強気だったハーロックⅡ世も、弱気になってしまう。
「台場、日本へ帰りたいか!?」
「あたりまえだ。おまえもアルカディアへ帰りたいだろう。」
このやりとりで、再び息を吹き返すハーロックⅡ世。
そしてド根性でスイス国境に不時着。そこでハーロックⅡ世は愛用の照準器を台場に預けて、別れを告げる。
「生きのびたら、いつかはおれの家へきてくれ。いっしょに酒を飲もう。」
結婚しちゃえばよかったのにね。
えぇっ!?
登場する戦闘機
わが青春のアルカディア号
ハーロックⅡ世の愛機。
正式名称はメッサーシュミットbf109 G-6。ドイツの主力戦闘機。
bf109は総生産数3万機を超える、世界で最も生産された戦闘機になっている。
開発・設計が1930年代半ばと古いが、後継機種の開発に失敗したこともあり、改良に改良を重ねて終戦まで活躍した。
ちなみにハーロックⅡ世の愛機ではあるが、彼はこれまでに20機ほどの機体を壊しているので、すべて同一の機体というわけではない。
メッサーシュミット Me163
作中に登場する次世代戦闘機。
ハーロックⅡ世の目の前で墜落し、彼に母国の敗戦を印象付けた。
世界初の実用ロケット戦闘機で、最高時速900km超(他機種は600km-700km前後)。高度9000mまで3分で到達するという、でたらめっぷりを誇る。
そんなスーパー戦闘機が目の前で堕ちたのだから、ハーロックⅡ世の胸中は推して知るべし、といったところか。
アニメ映画化
1982年に、東映系で映画化される。
が、ほぼオリジナルで、戦場まんが版はチラリと出てくるくらい。
内容はキャプテンハーロックと、相棒・トチローとの出会いを描いたもの。劇中で二人の記憶を覗いたところ、戦場まんがの話が出てきて、1000年来の縁があることが判明する。
また、ハーロックⅠ世(スタンレーの魔女)も登場し、俳優・石原裕次郎さんが声を担当して話題になった。
続編として、「わが青春のアルカディア 無限軌道SSX」がテレビ放映されている。製作は、こちらも東映系。
キャプテンハーロックとトチローが、たくさんの星々を渡り歩くという内容。
トチロー健在の為か、キャプテンハーロックが明るく元気な性格になっている(他作品では寡黙で影のある性格)。
感想
一緒にいた時間は短かったものの、お互いが”生涯の友”と呼び合う、濃密なやり取りが描かれていた。
ハーロック二世は母国の敗戦をひしひしと感じつつも、”おれは負けてない”と自身の仕事に従事。
一方の台場も日本の敗戦は、時間の問題と言いつつ、”おれはやるだけのことはやる”と自身の仕事に取り組む。
そんな二人がシンパシーを感じて意気投合する様子は、ほほえましい。
生前に一緒に酒を飲む約束は果たされなかったが、雲の上で子孫たちを眺めながら、ちびちびと語り合っていることだろう。
まとめ
以上、松本零士先生のわが青春のアルカディア(戦場まんがシリーズ)でした。
戦場で出会った二人がお互いを”生涯の友”と呼び合うまでに至ったストーリーが描かれています。
ハーロック(と、トチロー)好きなら、きっと気に入るはず。
短編と言わず、長編でだって構わないタイトルですよ。
ハーロックⅠ世も少しだけ登場するよ。
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