インプレッション強めのスプラッター・マンガに興味はありませんか?
楳図かずお先生の錆びたハサミ(神の左手悪魔の右手)がピッタリおすすめです!
本作は青年誌に掲載されていたので表現が過激的。
しかし、それ以上に印象的なのが演出。
赤色のインクで印刷されたプロローグでは女の子の両目からハサミが突き出し、真っ赤な血の海でのたうち回るというドエライ始まり方をします。
デザイン・演出・ストーリー、楳図先生の筆が最も脂の乗っていた時期の作品です。
おすすめ度 | |
スプラッター | |
テラー | |
演出 |
神の左手悪魔の右手は後期三部作の一つだね。
映画化もされた楳図先生の代表作さ。
ちなみに映画はR-18だよ。
ハサミの悪夢が発端
ある夜、弟は夢を見る。隣で寝る姉の両目からハサミが突き出し、血の海を作るという悪夢。もちろん目を覚ますと、姉は元気だしハサミもない。
そこへ姉の友人がやってくる。
「担任の先生が川に流されたらしい。一緒に川を見に行こう。」
誘いに乗った姉弟が川辺に着くと、そこには建物の土台?が漂着していて、地下室へ続く階段がぽっかりと口を開けている。
中へ一歩足を踏み込むや、何かが落ちている…ハサミ!夢の中で見たのとよく似たハサミ。
「お姉ちゃん、そのハサミを拾っちゃダメだ!」
「うるさい!(ひょいー)」
いつの世も弟とは弱いものです。そして探検もそこそこにみんな帰宅。
翌日、弟は自身の机の中でハサミを突き立てられ、絶命している飼い猫を見つける…。
大雨で川が氾濫してるんだって。
見に行こうよ!
えぇ…。
弟の恐怖が現実に…?
序盤、弟の恐怖対象は夢で見たハサミでした。ハサミを見るや足元からガイコツが出てきたり、飼い猫の惨殺死体が出てきたり…。しまいには姉が大量の泥を吐いて卒倒してしまいます。弟いわく、
「ハサミを拾ったからだ。ボクがあんなに止めたのに!」
この弟の発言は周囲から「なに言ってんの?」と、全く理解されません。そら、ハサミと姉の卒倒なんて何の関係もない、子供の絵空事ですもの。
そして中盤になると恐怖対象が変化します。きっかけは母親の一言。
母「昔、ハサミを使った連続殺人があったらしいわ。」
姉「おえーっ!(ガイコツ吐きー)」
友「このガイコツ、子供の骨っぽいわね。」
姉「おえーっ!(三輪車吐きー)」
と、言った具合。弟は周囲が怖い話をするたびに恐怖し、姉はそれに連動して何かしらを吐き出していく。さらに友人が続けます。
「新しい担任の先生が怪しい。アイツが連続殺人の犯人に違いない。」
それを聞いて恐怖する弟。
その後ろにはハサミを持ってたたずむ担任の姿が…。
弟が怖いと思うと、なぜか姉がモノを吐き出すんだね。
まんじゅう怖い!
おえーっ!(まんじゅうボトーっ)
きったな!
開幕から真っ赤なページ
本作では所々で二色刷りがなされていて、演出を彩(いろど)っています。
物語冒頭は赤色で印刷されていて、顔面から血を噴き出している姉が、まさに血の海で転げまわっているというスプラッターな絵面になっています。
終盤では弟がラスボスのアジトに乗り込むのですが、そのシーンは青色。ページをめくると緑色。次はまた青色…。と、ページごとに色付けが変わっていて、読んでいるとまるで夢の中をさまよっているような、不思議な感覚になります。
本作の魅力は不思議で過激なストーリーに加え、これらやたらと印象に残る演出にもあると思います。
特に読み始めるや、人の目からハサミが突き出し、真っ赤な血の海を転げまわるというシーンなどは引き込まれないはずがない!
女の子が血の海で転げまわるって…。
青年誌に掲載されていたからね、スプラッター多めだよ。
まとめ
以上、楳図かずお先生の錆びたハサミ(神の左手悪魔の右手)でした。
楳図先生と言えば「ぎゃーっ!」ですが、本作では多めのスプラッター・シーンと二色刷りによって、さらにインプレッションが強化されています。
先生の作品でも最上位クラスに入る面白さだと思いますので、是非々々。
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