今回は日野日出志先生の短編マンガ・腐乱少女をご紹介します。
ヒトが死んで腐っていく様子を描いた九相図という仏教絵画がありますが、それのマンガ版といった感じ。
美少女が日野先生の手により、えらいことになります。
「九相図」ってどこかで聞いたことがあるような?
マンガとかで出てきたりするね。ドグラマグラが有名かな、ちゃかぽこ。
おすすめ度 | |
グロさ | |
親子愛 | |
ラスト |
なかなかの腐り具合につき、グロ苦手な人は注意だよ。
夏休み前日から二か月かけて腐っていく少女
主人公・ゆっこは母親と二人で暮らしている学生さん。母親に楽をさせてやりたいと、日々勉強&勉強。
ところが夏休みの前日に関節が動かないという体調不良に見舞われ学校を欠席。
しばらくすると関節は動くようになるも、今度は体に力が入らなくなる。さらに体からウジ虫がわきはじめ…。
親孝行だったゆっこが、なんでこんな目に…?
季節は夏。じっくりと醸(かも)されていく主人公は、まさに腐乱少女なわけだね。
腐りゆく娘をただ見守るしかできない母親
母親は「関節が動かないの」と娘・ゆっこに言われた際、はじめは動揺するものの、すぐに冷静さを取り戻して看病してくれます。
看病のために何日も仕事を休み、医者に診せるそぶりもない。することといえば、看病と夫の遺影に祈りをささげることだけ。
ええ、もうね「あっ(察し)」といったところです。
ゆっこの体からウジ虫がわき、「体が痛い」と泣いてもただ見守るだけ。これらのシーンは一読目だとただのグロシーンですが、二読目だと母親の気持ちが察せられ涙が出ます。
お母さん、関節が痛いの…。
熱は37,5度…。38度ないなら学校休んじゃだめだよ。
・・・・・・・・
親子愛が生んだ奇跡といえば奇跡
「こんなにも辛いのなら奇跡などいらぬ!」といった過程をたどりますが、一応最後に救われるような終わり方をします。これも奇跡といえば奇跡。
まあ、そうでもなければただのウツ物語になってしまいますからね。
読後にはグロシーンのことなどは忘れ、清々しい気持ちになります。
バッドなストーリーだけど、一応ハッピーなエンドかな?
お母さんの愛と娘の愛が、この物語を作ったんだよ。
まとめ
以上、日野日出志先生の腐乱少女でした。
ただのグロマンガにせず、親子愛を織り交ぜた物語にするあたり日野先生の辣腕が光ります。
作中の季節のように、夏の夜長に合う作品です。
日野先生は生きながらにして腐る。っていう演出が多いね。
コメント