みなさん、たまには悲哀物語を見てしんみりとした気持ちになりたいと思うことはありませんか?
日野日出志先生の地獄小僧は罪のない少年が世間から追い立てられて排除されるという悲しい物語です。
今作を読めばきっとしんみりな気持ちになれるでしょう。
おすすめ度 | |
怪物の悲哀 | |
マッドな父親 | |
グロい |
物語は1部と2部から構成されているよ。
1部はお父さんが怪物化した息子を治そうと頑張る話。
2部は地獄小僧が行く先々で排斥される話だね。
息子の治療のためにすべてを犠牲にする熱い父親
ひょんなことから医師・羅雪(らせつ)は息子・大雄(だいお)を亡くしてしまう。
なんとしてでも息子を生き返らせたい羅雪は他所の子供をいけにえに使い、これを生き返らせることに成功。
しかしよみがえった大雄の治療には更なるいけにえが必要だった。
羅雪は「地獄の底まで行ってやる!」と腹をくくり、息子の治療を続けていく。
いやあ、論理的にはアレな父親ですが「なにがなんでも息子を助けてやる」と決意する姿はかっこいいです。
羅雪(らせつ)ってスゴイ名前だね。
破壊と滅亡をつかさどる神様だね。
うん、スゴイ。
あまりにも不条理な目に合う大雄少年
大雄少年の不幸の始まりは事故で亡くなること。
この時点で満貫レベルの不幸ですが、それで終わらないのが本作。
復活はしたものの怪物化してしまい、本人の意思とは関係なく暴れまわり(本人の意識は残っている)、そしてこれまた本人の意思とは関係なく父親からマッドサイエントな治療を受ける。
途中、怪物化した理由が判明するもやっぱり本人のあずかり知らぬことが原因。
大雄少年自身は人のよさそうな美少年だけに、その悲惨さがさらに引き立てられます。
かわいそうなムスッコだよ。
巻き込まれた他所の子供もかわいそうだけど、大雄少年も相当だよね。
本人に悪意はないが、厄災をもたらす地獄小僧
第2部からは地獄小僧(大雄少年)が様々な場所をめぐり、いろいろな人間や悪霊と出会っていくお話。
なのですがこの地獄小僧、会う人会う人をとにかく不幸にする。
人間はもちろん悪霊も大変な目にあってしまう(おはらいされたり)。
しかし当の小僧に悪意はなく、むしろ出会った人間側の方がよほど邪悪だったりします。
そして小僧は常に排除される側にいます。
帰る場所ができたかな?と、思っても秒で失い、また放浪の旅へ。
まさに怪物の悲哀と言えるでしょう。
初めてできた友達(子犬)を人間に取り上げられるのは、あんまりだよ…。
終盤で友達になる女の子も家がファイアーしちゃうし、生まれ持っての不幸体質かもね。
まとめ
以上、日野日出志先生の地獄小僧でした。
息子のために自他ともに犠牲をためらわない父親のマッドぶりと、息子のあんまりな境遇。そして悪意はないのに、周辺に不幸を振りまいて歩く地獄小僧。
各人ともなかなか悲惨で哀しいハメに合います。夜長にどうぞ。
本当は3部構成だったとかでないとか。
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