見た目からしてヤベェー奴で、話してみたらやっぱりヤベェー奴で…。誠意にあふれた彼女を、理解してくれる人は、一生、現れなかったわけで…。
日野日出志先生の糞虫は、見た目も言動もヤバい主人公に、天使が舞い降りるお話。
彼女は天使に対し、精一杯の真心を送る。
しかし、生前にそれが理解されることはなかった。
それはもうバッドエンド。
概要
あらすじ
浅虫は吃音症を持った女子中学生。それもあり、幼い頃からいじめにあってきた。
つけられたあだ名は糞虫。
その日も放課後に蹴る、棒で殴るのいじめにあう。そこに現れたのが生徒会長の山川。
山川はいじめっ子たちを一喝し、浅虫にやさしい言葉をかけてくれる。山川はそのまま帰宅。
と、自宅前に浅虫がいる。浅虫は、ぺこりと頭を下げてくる。
「あ…あり、ありが…と…」
そう言うと、走り去っていった。
登場人物
浅虫
吃音症の女子中学生。あだ名は糞虫。両親が家出したため、寝たきりの祖母を一人で介護している。
山川
浅虫の同級生。学校の生徒会長をしている。美人でやさしい性格。しかし、ネズミは苦手。
すげぇあだ名だ…。
物語の内容
糞虫の恩返し
翌日。山川はいじめられている浅虫を気の毒に思い、相談相手になると友人に話している。
と、浅虫本人が教室にやって来る。昨日のお礼にプレゼントを持ってきたという。山川は、差し出された小箱を開ける。
と、中から出てきたのは、生きたはつかねずみ。ネズミが嫌いなのか、絶叫しておびえる山川。
それを見た浅虫は、ネズミを回収して廊下へ出て行ってしまう。
放課後。浅虫が山川を訪れる。昼間のことを謝罪に来たという。なんでも生き物が好きらしい。
しかし、浅虫はネズミを両手で持ち上げると。
「この子、悪い…子!!」
と言い、握りつぶして殺害してしまう。ドン引きする山川。
「あの子変よ…!!絶対おかしいわ。ど…どうしよう…!!」
生き物のプレゼントはちょっと…。
ネズミも災難だ。
気持ちは伝わらず…
翌日。ネズミの件を友人に相談する山川。そこへ浅虫、登場。
今日は山川の家に遊びに行くとか言ってくる。冗談じゃないと、まくしたてる山川。
「はつかねずみをあんなふうに殺すなんて!!あたしそんな人大嫌いよ!!」
そう言って、向こうに行ってしまう。
浅虫の頭の中で言葉がこだまする。
大嫌いよ!!大嫌いよ!!
糞虫!!糞虫!!
糞虫!!糞虫!!
その日、浅虫は涙を流して、帰路についた…。
ちょっとかわいそうになってきた。
さらなる悲劇が、彼女を待っているよ。
感想:浅虫の圧倒的存在感
いじめにあい、山川には上げて落とされて、浅虫が不憫(ふびん)すぎる。
しかし、まあ、うん。といった感じ。
なにせ、浅虫の不気味かげんが半端ない。彼女の顔には常に影があり、登場するだけで背景が真っ黒になる。
行動自体は、わざわざ頭を下げてお礼を言ったり、贈り物をしたりと丁寧な感じ。
だが、そんな好印象も彼女の存在感が、すべてをぶち壊していく。
もしも、彼女の存在感が控えめだったら、悲劇的な物語にはならなかったかもしれない。
しかし、それはまた別のお話…。
顔が悪役っぽいからね。しゃーないね。
まとめ
以上、日野日出志先生の糞虫でした。
両親が家出をし、一人で寝たきりの祖母を介護している浅虫。
彼女はいじめのターゲットにされていたが、それを助けたのが山川。
以降、浅虫は彼女を慕っていくのだが、その誠意が山川に届くことはなかった。
自分の気持ちを他人に伝えるのは難しいなあ、と思いました(小並)。
なんでこんな死に方せにゃならんねん!
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