【まだらの卵】あらすじ紹介:日野日出志のミステリーホラー

※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

日野日出志 まだらの卵 ホラー・サスペンス

 まだらの卵は、日野日出志先生によるミステリーホラー作品です

 物語は、主人公の少年が近所のドブ川で、ド派手な色した卵を見つけるところから始まります。

 その卵から何者かが生まれたのですが、姿を確認する前に脱走してしまう。

 それ以降、近所では子供やペットの行方不明事件が多発するようになり…。

 今作はグロやスプラッターよりも、ミステリーやサスペンスといった感じ

 日野先生の、こういった作品もアリだなと思える、興味深い展開が待っています。

面白かったところ
  • ミステリーなストーリーと、ホラーな演出がベリーグッド
  • 少年が正体不明の怪物に襲われる際の恐怖感がリアル
イマイチだったところ
  • 日野先生の作品ながら、グロ描写は控えめ。ドブ川を流れている動物の死体くらい?
  • 全ての謎は明かされない。っていうか、謎全般が明かされることはない

物語の概要

黒い煙を出す工場

あらすじ

 物語の舞台は、汚染された工業地帯の町

 まだらの卵を拾った少年とその家族が、正体不明の怪物に襲われる様子を描いたホラー漫画です。

 主人公の少年は、汚水まみれのドブ川で派手な色をした、まだらの卵を発見します。

 動物好きな少年はまだらの卵を孵化させますが、目を離した隙に生まれた生物は姿をくらませてしまう。

 それからというもの、町では子供やペットのの失踪事件が頻発。

 そしてある日の夜

 飼い犬・ポチの悲鳴が響(ひび)きわたる…

登場人物

 少年
  今作の主人公。ポチと一緒に、ドブ川で遊ぶのが日課。ある日、そのドブ川で原色の卵を発見。  自宅に持ち帰ったことが事件の発端になる。

 ポチ
  少年の飼い犬。一緒にドブ川で遊ぶことが日課。川に浮かんでいる、腐乱死体を舐める強物(つわもの)

 家族
  同居する少年の家族曲者ぞろいの楽しい人たち。しかし、クセが強すぎて少年の孤独を助長している。まあDVをすることはないし、ペットの飼育を容認したり、寛容な性格ではある。

 まだらの卵
  少年が拾った原色に輝く謎の卵とにかく派手。孵化後は姿を見せないまま、行方不明に。一か月後、卵の中身が少年の自宅に帰ってくる…。 

まだらの卵…。まだらって何?

フワフワとした触感でね、鍋に入れるとおいしいんだ。

真鱈?

物語の内容:孵化した中身が帰ってきて…

 ポチの悲鳴を聞きつけ、少年が駆けつける

 そこにあったのは、体液を吸い取られてミイラのようになったポチの死体。次いで、やはりミイラのようになった家族の死体を発見する。

 と、二階から誰かが下りてくる。

 ミシッ…ミシッ…

 「たすけてくれぇ~っ!!

 絶叫する少年は自室に駆け込み、ドアにバリケードを作る。

 「あの卵からあんな怪物が生まれるとは…!!

 怪物がドアを、けやぶろうとしてくる。少年は、窓から外へ逃げようとするも、カギが開かない。

 そしてついに、ドアが破かれる。

 少年は目を血走らせ、絶叫をあげた

ミステリー要素:孤独な少年とまだらの卵

女の子の人形

孤独な少年

 家族五人で暮らす少年

 が、作中では「孤独」と表現されている

 それもそのはず、家族がそろいもそろって曲者ぞろい。

 毎晩、飲んだくれてグチをこぼしまくる父親

 物を聞いても「おまえは、そんなこと知らなくていい。」と、突き放す祖母

 そして病気とはいえ、顔すら見せてもらえない母親

 首つり人形に「花子」と名付ける祖父

 花子って誰?母親のことなのか?

 少年の孤独を形作っている、家族環境が物語に陰鬱(いんうつ)さをマシマシにしています

まだらの卵の正体は?

 まだらの卵から生まれた怪物は何者なのか?

 この怪物が生まれて以来、町では子供やペットの失踪事件が発生。

 終盤には、少年の家族を襲い、恐怖を引き起こします。

 怪物が通った後はキラキラと光る粘膜がくっついていて、襲われた家族やポチは、なぜかミイラのように干からびている。

 怪物の姿は最後まで描かれることはなく、その正体は不明。

 怪物の襲撃も、叫び声や“ミシッミシッ”という足音のみ。

 これらはパニック映画みたいな感じで、間接的な恐怖を呼び起こし、謎が謎が呼ぶ演出でグッドでした。

今作はグロシーンがないけれど、恐怖演出はピカ一(いち)だと思うな。

ちびったぜ!

感想と考察:日野先生の演出がグッド

ドブ川

 今作の舞台・ドブ川は、周辺の工場から汚水が注ぎ込まれ、日によって水の色が変わるとかいう地獄のような場所。おまけにゴミやら動物の腐乱死体が浮いている

 ここが舞台に選ばれたのは、ストーリーの陰鬱とした暗さや不気味さの演出でしょう。

 ドブ川は周辺住民の日常から隔絶された場所であり、そこで見知らぬ卵が見つかり、それが周辺住民に多大な影響を与えるというのは興味深いです。

 卵から生まれた怪物の正体は、最後まで明かされることはありません。

 まだらの卵は何だったのか?

 怪物の目的は?

 動物をミイラにしてしまう能力の正体は?

 ミステリーとホラー、サスペンスを組み合わせた、日野先生の手腕は絶妙だなぁと思います。

ケミカルな川とか、怪物が生まれてもおかしくないね。

昔ってヤベェーな

まとめ

 以上、日野日出志先生のまだらの卵を紹介しました

 今作は、汚れた川を流れてきた卵から正体不明の怪物が生まれるという、ある意味ホラーの古典的な展開。

 その中で、日野先生の描く癖のあるキャラクター達と精緻(せいち)な演出が読者を引き込み、不安と恐怖を与えています。



コメント

タイトルとURLをコピーしました