自ら命を絶つ人がやまない自殺スポット・魔の山トンネル。
なぜなのか?
とある田舎町にあるトンネル。線路が一本通っていて、昔から自殺者が後を絶たなかった。鉄道が敗戦になった今でも、行方不明者が続出している。
伊藤潤二先生の、トンネル奇譚を紹介します。
- 怪談的な怖さ
- 家族が一人また一人と、消えていく恐怖
- 妹に人間味を感じない。かわいいけど感情移入しにくい
概要
あらすじ
町はずれの山には、トンネルがある。
線路が一本通っていて、飛び込み自殺が後を絶たなかった。
通称・魔の山。
五郎の母親も、そこで自殺。まもなく、鉄道は廃止された。
数年後、五郎は学校の友人たちと、トンネルへ肝試しに行く。懐中電灯を片手に、真っ暗なトンネルを進んでいく五郎たち。
と、奥の暗闇に人影が見える。
それは、妹のマリだった。
「怖いよお兄ちゃん…」

お前が怖いわ!!
登場人物
五郎
田舎町で暮らす少年。母親の飛び込み自殺を目撃している。
マリ
五郎の妹。登場シーンの9割で泣いている。かわいい。
小山さん
宇宙線観測所で働く女性。五郎とマリを心配してくれる。
物語の内容
魔の山トンネルへ
マリは気づいたら、トンネルの中にいたのだという。帰宅すると、発熱して寝込んでしまった。
翌日。
五郎が大雪の中、帰宅すると、マリが行方不明になったことを聞かされる。父親が雪の中を探しに行くが、彼も帰ってこない。
心配した五郎が真っ先に駆け付けたのは、魔の山トンネルだった。
父親失踪
トンネルの入り口には、父親とマリの靴跡が残っていた。懐中電灯片手に中へ入る五郎。
まもなく、マリが女性と一緒にいるのを見つける。彼女は小山さん。宇宙船観測所の研究者らしい。3
人で父親を捜し始めるも、見つからず。
先に家に戻っているのかも、ということで、この日は解散。
父親は戻らなかった。

父ちゃん…。
妹、沈降
マリの奇行が止まらない。何度も魔の山トンネルへ行き、そのたびに小山さんから連絡をもらった。
そしてある日、小山さんから尋常でない連絡は入る。
「…今すぐ来てちょうだい!!…」
「今…大変な事に…」
五郎は急いで魔の山トンネルに向かい、奥へと進んでいく。
そこでは、マリが小山さんに抱きかかえられた状態でへたり込んでいた。
「お兄ちゃんこわいよ~」
マリは、次第に小山さんの体をすり抜け、そのまま地面に沈んで行ってしまった。
「怖いよ~」

あばばばばば…
感想
人を引き寄せる自殺スポット。
昔から、自殺者や行方不明者を出していた、魔の山トンネル。作中でも母親・父親・妹と、一人また一人と姿を消していく。王道的なホラー展開。
終盤のお化けシーンは、ホラーだけどコメディチックな伊藤潤二クオリティ。
アニメ化も納得な作品でした。
まとめ
以上、伊藤潤二先生のトンネル奇譚でした。
死者・行方不明者を続出させる魔の山トンネル。
五郎も、母親を自殺で亡くし、さらには父親。そして今、妹までもがトンネルに引き寄せられる…。
ミステリーホラー的で、なかなか面白かったです。
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