謎の風習を持つ街に、悪意ある青年がやって来る。
町は青年のせいで被害を受けるが、仕返しもきっちり行う。
伊藤潤二先生の墓標の町は、そんなお話。
おばけ的なホラーよりも、町の不気味さや人間のどす黒さがメインの作品です。
概要
あらすじ
親友の泉から手紙が届く。
引っ越し先の町が不思議なところなので、遊びに来てほしいという。
かおるは兄・剛が運転する車で、不思議な町とやらに向かう。
しかし、途中の山道で女性をひき殺してしまう。剛とかおるは、亡くなった女性を車のトランクに詰め、そのまま町へ向かう。そして、泉の家に到着。
町の中には、そこら中に墓標が建っており、家の中までそれがあった。
そのとき、泉の妹・あゆみが、山で行方不明になったという知らせが入る。
登場人物
剛
かおるの兄貴。優しい顔したクズ。
かおる
剛の妹で、泉の親友。良心的だが押しに弱い。あと可愛い。
泉
かおるの親友で、あゆみのお姉ちゃん。ときどき、おさげになる。
あゆみ
活発な性格をした泉の妹。山を散策中、剛にひき殺される。
物語の内容
遺体が墓標化する
翌日から、あゆみの捜索が開始される。剛とかおるも、それに参加。
この町では、亡くなった人を絶対に動かしてはいけない。そのままにしておけば、やがて遺体が石化し、墓標になるのだという。そうやって、人は成仏するらしい。
一方、あゆみの捜索は難航。車にはねられた可能性が浮上してくる。
捜索の帰り、泉が剛の車をじっ…と見ていた。
剛たちはその日の夜、帰宅することを決める。
墓標化に失敗したあゆみ
泉家を後にする二人。
しかし帰路にはつかず、向かったのは町内の古井戸。
車のトランクを開けると、墓標化に失敗したのか、ゴツゴツに石化したあゆみの遺体があった。二人は遺体を古井戸に投げ入れる。
罪悪感を抱きつつも、車に戻ろうとする二人。
と、剛がうしろを振り返る。
あゆみがこちらを見ているような気がした。
剛、死亡
剛が死んだ。
帰宅して間もなく、町で負った傷が化のう。見る見るうちに悪化していき、最後は苦しみながら死んでいった。
そして、葬式の最中にあゆみ同様、墓標のなりそこないになってしまう。
それを見たかおるは、警察に自首することを決心。
最後に、泉一家の元を謝罪に訪れる。
そこで、かおるは、彼らの悲しみを知る。
感想
ホラーと剛のクズっぷりを楽しむ作品。
友人に誘われていった町は、いたるところに墓標の建つ不思議な町。
人が危篤(きとく)になるや急いで外に連れて行き、地べたに放置。道端に動物の死体があっても、絶対に動かしてはいけない。なんとも理解に苦しむ不気味な町。
しかし、住民はいたって親切で、困ったことがあれば助けてくれるし、墓標についても丁寧に教えてくれる。そのおかげで、剛の極悪っぷりが光る。
- 1out-あゆみをひき殺す
- 2out-救命活動を行わず、トランクに詰める
- 3out-遺体を古井戸に捨てる
といったところ。
ほかにも、かおるが自首しようとすると、全力で引き留める。そして”お前のことを思って言っている”。とか抜かしてくる。
今作は、町の不気味さと、剛のクズっぷりを楽しむ作品だと思う。
そして、面白いです。
まとめ
以上、伊藤潤二先生の墓標の町でした。
兄の運転で外出するも、人をはねてしまう。救命活動はせず、そのまま隠ぺい。
のちに、それが友人の妹だと判明するもスルー。それどころが、遺体を投げ捨ててしまう。そして、兄には天罰が下り…。
おばけ的ホラーよりも、謎の風習が醸し出す不気味的ホラー。ラストのむなしさもいい感じです。
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