意外性のない、判を押したような毎日を過ごしていませんか?もしかしたら、それには意味があるのかもしれません。
藤子・F・不二雄先生の、どことなくなんとなくは、そんな日々に苦悩するサラリーマンのお話。
主人公の天地は、ある夢を見てから周りの人や物に実在感を感じられなくなり、強い孤独感に悩まされていた。もがき苦しむ彼だが、終盤に答え合わせが行われる。
しかしそれは、絶望から別の絶望へ移動しただけだった…。
概要
あらすじ
白い夜があった…。
サラリーマンの天地は、友人と山でキャンプ中。
天地は白い夜の夢を見て以来、ノイローゼをわずらっている。それを心配した友人が、彼をキャンプに誘い、現在に至る。
天地いわく、夢を見てから、何かが変わったらしい。空・雲・山、そして友人を指さしていう。
「なにもかも実在感がないんだよ!!」
うーん、これはノゼローゼ。
登場人物
天地
ノイローゼ気味のサラリーマン。白い夜の夢を見てから、強い孤独感に悩まされる。
友人
天地の友人。彼の妄想話を、根気よく聞いてくれる。この山に来たのは初めてではなく、10年前にも天地と一緒に訪れている。
謎の声
遺跡探査に訪れた宇宙人。その際、ひとかけの細胞を見つける。彼らが、その細胞に同情したことが、すべての始まり。
物語の内容
想像が現実になる
友人は、笑いながら相づちを打っている。
天地は夢を見て以来、毎日が判を押したような、意外性のない日々になってしまったという。
そればかりか、最近は思ったことがそのまま現実になるらしい。
雨が降ると思えば雨が降り、出世すると思えば出世する。
それを聞いた友人は、いい加減アホらしくなってしまう。
病んでますね。
友人死す。そして…
白い夜があった…。
天地いわく。今回、友人と山に来たのも自分がそう願ったからで、すべては自分の筋書き通りだという。
それを聞いた友人はついに怒り出す。
「お前が天地創造の造物主だって!?ふざけるんじゃねえ!!」
そう言って、天地の顔面にジャイアンパンチを食らわせる。そして、これ以上殴られたくなかったら自分を消してみろと言い、追いかけてくる。
天地がとっさに手を出すと、友人は吹っ飛ぶ。そのまま崖下へ落ちてしまった。
天地が、転げ落ちていく友人を見ていると、周囲の風景が徐々に崩れていく。声が聞こえる。
「これ以上はむりのようだな。」
「こころみはむだにおわった。」
どういうことだってばよ…?
感想:天地に救いはない!!
天地のラストが、かわいそうすぎる。
作中の天地は強い孤独感に悩まされている。そして終盤で、孤独の正体についてのネタバラシが行われる。
しかし、それは天地の救いになることはなく、別の絶望へと叩き落とされる。
救いが1mmもない。
見ようによっては、それこそが本作の見どころなのかもしれないが…。
天地カワイソス!
まとめ
以上、藤子・F・不二雄先生のどことなくなんとなく、でした。
ノイローゼ気味の天地は友人と一緒にキャンプへ行く。天地の妄想話を、笑いながら聞いてくれていた友人。
しかし、今回のキャンプも天地の筋書き通りだと聞くと、ついに怒り出す。ひょんな事故から、崖下へ落下する友人。
そこへ謎の声がひびく。これまでのことは、天地への思いやりだったという…。
正直、初読はワケわかりませんでしたが、二度三度と読んでなるほどと。そんな作品でした。
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