子どもに人気のピエロが、殺人鬼だった。という、シャレにならない話があります。
伊藤潤二先生のアイスクリーム・バスは、アイスのお兄ちゃんがそれ。
毎週土曜にやって来るアイスクリームバスは、子どもに大人気。アイスを食べたあとは、町内一周のバスツアー。
しかし、バスツアーに参加した子どもは、やけに甘い香りを放っていた…。
概要
あらすじ
このマンションには、毎週土曜にアイスクリームバスがやってくる。
子どもたちは、アイスを食べることと、サービスのバスツアーを楽しみにしている。
友樹も”夕飯をちゃんと食べる”という条件付きでバスツアーに参加。
その条件を聞いたアイスのお兄ちゃんが、チラッとパパを見る。子どもたちを乗せて、バスが出発した。
登場人物
友樹
おなかの弱い男の子。スキあらばパパを脅迫してくる。
パパ
友樹の父親。妻と離婚し、友樹を引き取った。
アイスのお兄ちゃん
アイスクリームバスを運行するイケメン。子どもと奥様方から絶大な人気を得る。
お兄ちゃんのアイスクリームを食べるかい?
お巡りさん、この人です。
物語の内容
気前が良すぎる…
友樹がバスツアーから帰ってくる。
バスの中には巨大なストロベリーアイスがあって、みんなでペロペロ食べたのだという。パパは、アイスクリームバスの気前が良いことに疑問を持つ。
次の土曜。友樹がバスツアーに参加する際、パパは”自分も参加したい”と、お兄ちゃんに申し出る。しかし、子ども限定のサービスだからと断られてしまう。
パパは、バスの中を覗き見る。
そこには山のようなアイスクリームがいくつもあり、子どもたちはそれをペロペロと舐め回している。バスが出発した。
サービス心旺盛だねぇ。
暖かいから溶けちゃった
季節は春。ずいぶんと暖かくなった。
「甘いね」
そう言って、お互いを舐めあっている子供をパパは見た。マンションの踊り場には、なぜかアイスの山が落ちている。
そして、自宅に到着するパパ。
自宅には、無数の溶けかかった子どもたちがいた。パパが驚愕(きょうがく)するなか、友樹は溶けかかった友人たちを舐めまわしている。
「ケンイチ君はバニラ」
「タケシ君はチョコレート…」
「カズユキ君はストロベリー……」
ボクはチョコレート!
感想
動機不明なお兄ちゃんが怖い。
子ども(と奥さま)に慕われているアイスのお兄ちゃん。アイスを一つ買えば、食べ放題バスツアーに連れて行ってくれる、気前のいいイケメン。
しかし、ときどき浮かべる表情を見るに、子どもたちに対して明らかな悪意を持っている。
の、だが、動機は最後まで不明。
アイスにした子どもを食べるわけでもなく、販売するわけでもない。ただ、アイスにしているだけ。それなのに、ラストでもなお売り歩いている。
動機不明、メリットも不明。それでもなお、悪意を持って行動し続ける。ピエロ的怖さを感じます。
まとめ
以上、伊藤潤二先生のアイスクリーム・バスでした。
子どもに大人気のアイスクリームバス。しかし、気前が良すぎる。子どもたちはアイスのとりこになり、おまけになんかベタベタしてくる。
そして、暖かい春を迎えて…。あのお兄ちゃんは、いったい何者なんでしょうね?
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