SF(すこしふしぎ)な物語をお求めですか?
つばな先生の第七女子会彷徨・第八巻からヒタ・変身をご紹介します。
ヒタは主人公・高木さんが異惑星に誘拐され、星の養分にされてしまうお話。異惑星が与える誘惑に惑わされつつも、地球への帰還を試みるホラー寄りのストーリーです。
変身は高木さんが道の真ん中に出来た大穴に落下。大穴から復帰すると、なぜか手足の生えたサカナの姿になっています。クラスメートたちもはじめは違和感を感じていたものの、次第に受け入れていくというコメディ寄りなストーリー。
おすすめ度 | |
ホラー(ヒタ) | |
コメディ(変身) | |
SF |
ヒタは、ホラーに切なさをトッピングしたお話。
変身はコメディを哲学っぽくしたけど、やっぱりコメディだったお話だよ。
ヒタ
人を養分にする異惑星
気が付くと荒野でたたずんでいた主人公・高木さん。周囲には頭から木を生やして、ただ呆けているだけの人たち。
ようやく見つけた普通の人間ことヒコパチいわく
「ここは人間を養分にしている異惑星。異惑星はその人にとっての安心(やすらぎ)を感じられる、心地よい夢を見せて骨抜きにしてしまう。」
しかし、次の場面になると「と、いう体験をしたのさ。」と親友・金やんに嬉々として語る高木さんの姿。
さらに次の場面では原っぱで高木さんと金やんが二人一緒に座って「あら~」している。
これらすべてが夢。
高木さんの安心とは、親友の金やんとダラダラ話しながら一緒に過ごしている毎日のこと。
高木さんは既に異惑星に取り込まれかけていて…。
安心感≒宝物?
ヒタの物語は数話の短編ですが、直前の物語「ある日 どこかで」と、ほんのりつながっている(ような気がします。)
「ある日 どこかで」では死者が返ってくるという七夕(たなばた)の日(七日盆?)に、宝物を探しているという少年に出会います。少年いわく
「どんな財宝よりも大きくて、大切なもの。きっとすぐ忘れちゃうだろうけど、次の場所にも持っていけたらいいな。」
ヒタでの高木さんいわく
「いつかは小さな日常は終わっちゃう。ずっと続いたらいいのに。」
とのことで、この二つのセリフはリンクしている(ような気がする)。
きっとすぐ忘れちゃうような小さな日常こそが、宝物(≒安心感)なのだと。
異惑星はその宝物をずっと忘れないように、ずっと終わらないようにしてくれるんですね。
悪魔かな?
「いつか小さな日常は終わっちゃう」
青春って感じだね。
それに対する金やんの返事は
「いっそ木になっちゃえ」だよ。
取り込まれる~!
変身
サカナになっても受け入れてくれるクラスメートたち
登校中、道の真ん中に空いたマンホール大の穴を見つける高木さん。
そして落ちる。
近くにいた金やんが急いでロープを投げ入れて引き上げるも、釣りあがったのは手足の生えた巨大なサカナ。
おどろく金やんにサカナが一言。「ほら、行くよ!」と、どうやら高木さんみたい?なにせSF世界。
はじめは戸惑っていた金やんも、放課後には一緒にクレープを食べたりと和気あいあい。
目を疑っていたクラスメートたちも、翌日には仲良くだべったりと仲良しこよし。
みんなが高木さん(巨大魚)を受け入れていた。
その時、教室に高木さん(人間)が乱入してくる!
「ちょっと!おかしくない!?」
「っ!高木さんが二人!?(片方は巨大魚)」と、おどろくクラスメートたち。
一体、二人(一人と一尾)はどうなるのか…?
ワケが分からない(ほめ言葉)
ヒトがサカナになる時点でワケが分かりませんが、高木さんっぽい言動をするサカナを見ているうちに「ああ、サカナになったんだな…。」と思い、読み進んでしまいます。しかし、ヒトがサカナになるハズもなく。
はじめはおどろいていたクラスメートたちが、次第にさも当然とばかりに受け入れているのは、改めてみるとツッコミどころ満載ですね。
改めて言われると、ヒトがサカナになるワケがないのにね。
SF(すこし不思議)な世界だから、しゃーない。
まとめ
以上、つばな先生の第七女子会彷徨・第八巻からヒタ・変身を紹介しました。
安心をエサにして人間を取り込み、養分にしてしまうヒタ。異惑星が見せているどこかフワフワした夢の雰囲気や、すでに取り込まれてしまった人間の様子がホラーっています。そしてヒコパチの最後が切ない…。
人間がひょんな事から巨大魚に姿を変え、周囲の人たちも受け入れてしまう変身。「人間がサカナになるワケないやろ!」とか「なに普通に接してるねん!」と、ツッコミどころ多めのコメディ話。
種類は違いますが、両話とも魅力的なお話でございます。
SF(すこし不思議)な物語だよ。
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