ホラー漫画界の巨匠・日野日出志先生の、はつかねずみを紹介。
無垢な一家が怪物に襲われ、一方的な被害者になる…。
なんてことにはならない!
本作は主人公一家と恐ろしい怪物、双方の残虐性を織り交ぜた物語。
日野先生のデザインと緻密なストーリーが、読者を恐怖へと誘う。
作品の概要
あらすじ
主人公の少年は、学校の通学路にあるペットショップに毎日寄り道していた。
目的は店の奥に置かれている、はつかねずみに会うため。それを見ていたショップの店長が、少年にはつかねずみをつがいでプレゼントしてくれる。
実家で飼育することになったはつかねずみ。
が、ある日に脱走してしまう。
原因は少年のネグレクト。
気の毒に思った両親が、新しくジュウシマツを連れてきてくれる。
ところが、ジュウシマツと生まれたばかりのヒナが、ミナゴロシにされてしまう。
足元には脱走した、はつかねずみがいた。
登場人物
少年
本作の主人公。彼がはつかねずみを飼いだしたのが、すべての始まり。はつかねずみに指をかまれた腹いせに、ネグレクトをかます。結果、つがいは共食いをするハメに…。大体こいつのせい。
両親
アパートから一軒家へ越してきたばかりの夫婦。ペットを飼うことに前向きだが、そのせいで大変な目に遭ってしまう。怪物が住み込もうと、マイホームを手放すという考えには至らない。
赤ちゃん
物語の途中に誕生する末っ子ベビー。一家から愛を注がれている。そしてネズ公からも愛されている。ハズだったが、はつかねずみが復讐を開始すると、真っ先に狙われてしまう。あわれ…。
はつかねずみ
本作のタイトルにもなっている恐怖の源。もともとは、おとなしい個体だった。しかし少年からネグレクトを喰らい、共食いをさせられる。そして一家への復讐を開始。やたらと大きく成長し、最終的にはカピバラ並みの大きさになる。
カピバラって大きいの?
体長130cm。体重60kgくらいかな。
でかい…。
物語の内容
はつかねずみの復讐
ジュウシマツを狩られ、怒り心頭の少年。
「ちきしょう。あいつめーっ」
ナイフを取り出し、はつかねずみに立ち向かう。
が、返り討ちにあう。
次いで、父親が木の棒を片手に立ち向かうが、これまた返り討ち。毒エサをやったり、狂暴なネコをけしかけるも、すべて失敗。
そうこうしているうちに、エサさえやればおとなしくしていることが判明。一家は様子見を決め込む。
そんな中、母親が出産。元気な赤ちゃんが家族に加わる…。
はつかねずみ、やべぇ…。
人間の復讐と…
赤ちゃんは家族から愛される。
一方、はつかねずみからも愛されてしまう。一緒に食事をとったり、スキンシップを取ったり…。
これには一家も黙っていなかった。
「赤ちゃんをねらってるんだよ」
「もうこれ以上がまんできないわ」一家は行動を起こす。
それはお祭り騒ぎをして、はつかねずみにお酒を飲ませるというもの。
これが成功する。はつかねずみは、鉄製のカゴに閉じ込められる。
そこから、一家の復讐が始まった。
はつかねずみの目をえぐって、シッポを細切りにする。耳をそぎ落として、体に火をつける…。
「もっとじっくり、いためつけてやるんだ。ひひひ…」
一家の復讐は何日にもわたり続けられた。
ところが、ある晩。
家じゅうに母親の悲鳴が響きわたる。
あいつが鉄のカゴを破り、一家への復讐を開始したのだった。
どっちもやべぇっ!
恐怖の要素
はつかねずみの変貌
初登場時のネズ公は、ゲージ内のすみっこで丸くなっているような、おとなしい性格だった。
少年に飼われてからも、兄妹によく懐き、つがい仲良く暮らしていて子供も生まれた。
至って普通の可愛いペット。
が、順調なのはここまで。
少年がエサやりを拒否すると、たちまち飢えてしまい、配偶者と生まれたばかりの子供たちを平らげてしまう。
それ以降、狂暴化&巨大化。
家じゅうに通り道を作り、一家を監視しつつ、時には暴れまわるという怪物に変貌する。
人間と、はつかねずみの残虐性
そもそもネズ公が変貌するきっかけを作ったのは少年で、指を食いちぎられた報復に絶食させるというもの。
「まあ、子供だし。」
みたいな気もするが、ネズ公にとってはまさに命の存亡の危機なわけで。
後半になると、好き勝手やっていたネズ公の捕縛に成功する。
と、ここでまた一家の残虐性が発揮される。
少年はシッポをみじん切りにし、妹は左目をえぐる。そして両親は…。
と、まあ。さっさと保健所にでも持っていけばいいものを、じわじわとなぶり続けた。
怒りのボルテージがマックスになった、はつかねずみはカゴから脱走。
一家への復讐を果たそうと行動に移す。
真っ先に向かったのは、仲の良かった赤ちゃんの元だった…。
まさに血で血を洗う、みたいな展開。
作中の一家は被害者っぽい気もするけれど、顔にやたらと影があったり、背景が真っ黒だったりする。
ぶっちゃけ、はつかねずみと同列。
今作は畜生VS畜生の戦いって感じです。
一家がゲスいなぁー。
ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーーー!
まとめ
以上、日野日出志先生のはつかねずみを紹介しました。
物語は、はつかねずみというペットが子供の無自覚な?残虐性により怪物化する過程が描かれています。
ネズ公は、その仕打ちへの報復に打って出ます。
一家も、その報復の報復を行い。
そしてまたネズ公も報復の報復の…。
血で血を洗うやり取り。最後も少年が
「あんなやつに負けてたまるか!!」
と、言って幕を閉じます。
人間と、はつかねずみの果てのない残虐な戦い。
俺たちの戦いはこれからだ!!
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