人形は人間に操られるもの。では、人間も人形だったら?
伊藤潤二先生のあやつり屋敷は、各地で公演を行う、人形一座の家族が主役。
一座の長男は、
「人形を支配してると思った事はないぜ」
「むしろ逆だ 俺達は人形に動かされてるんだ」
そう言って家出。
数年後、長男から”事業で成功したので、家族を招待したい”と手紙が届く。家族が屋敷へ向かうと、長男が玄関まで出迎えてくれた。
長男は、なぜか、糸で吊るされていた。
人形師と人形の、不思議なお話です。
概要
あらすじ
治彦一家は、日本中を旅する人形一座。父親を中心に、各地で人形劇を開催している。
そのため、治彦は友達ができても一か月でお別れ。そんな生活が続いた。
その生活に嫌気を差したのが、兄・雪彦だった。ある日、
「おやじが人形劇をやめようとしないのは人形にあやつられているからだ」
「俺はもうごめんだ人形に働かされるなんてまっぴらだ!」
そう言って、家出してしまう。
半年後、父親が亡くなった。
登場人物
治彦
人形一座の次男。人形の扱いは苦手。
雪彦
人形一座の長男。なんでもそつなくこなす。父親と思想が合わず、家出してしまう。
絹子
治彦の元クラスメート。ジャン・ピェールをぶん殴ったことがある。
ジャン・ピェール
雪彦お気に入りの人形。根に持つタイプ。
物語の内容
雪彦の成功
治彦は親せきの世話になっていたが、中学卒業を機に独立。ある町の、安アパートで暮らし始める。それなりの生活ができ、元クラスメートの絹子とも、お付き合い開始。
そんなある日、行方不明だった雪彦から手紙が届く。
事業が成功したので、治彦を屋敷に招待したいという。さっそく、雪彦の屋敷へ向かう。
玄関で出迎えてくれたのは、雪彦お気に入りの人形、ジャン・ピェール。ついで、雪彦本人が出迎えてくれる。
のだが、彼は天井から糸で吊るされていた。
まるで、あやつり人形のように…。
ツッコめや!
あやつり人形こそが…
雪彦は、豪華料理とあやつりり人形のバレエで歓迎してくれる。
ここでようやく治彦が、なぜ雪彦自身が糸で吊られているのかを質問する。いわく、天井裏に使用人がいて、枯れたは雪彦の思った通りにあやつってくれるらしい。
「あやつり人形こそが真のあやつり手なんだよ」
「わかるかい?」
と、バレリーナ人形が”いっしょにあやつられないか?”と糸とバンドを差し出してくる。治彦は人形の鼻をツンツンしながら断る。
その様子を外から覗いていた絹子が、それを浮気と勘違いしてしまう。
絹子は、そのまま家の中に上がり込む。玄関には、ジャン・ピェールが立っていた。
ジャン・ピェールは、絹子の顔に見覚えがあった。
二人は知り合い?
絹子はジャンをぶん殴ったことがあるんだ。
おぉ…
ジャン・ピェールの復讐
突如、バレリーナ人形が治彦を攻撃し始める。雪彦も狂ったようにに動き回る。
「ジャン・ピェール!」
「助けてくれっ」
部屋を覗いていたジャン・ピェールが、音を鳴らしながら逃げいていく。
カシャカシャカシャ
それを追いかける治彦。
そして、廊下の角を曲がった。
そこには、絹子が全身から血を流し、吊られた手足を不自然に動かしていた。
カシャカシャカシャ
アニメ化
2018年にアニメ化されました。製作は、スタジオディーン。声優さんは、
- 治彦→島﨑信長さん
- 雪彦&ジャンピェール→浪川大輔さん
- 絹子→斉藤佑圭さん
という意見が目につきました。
特に、原作ファンからの評価が厳しいようです。
感想
父親は、家族と一緒に日本各地を旅するのが楽しみ。人形については”人間のいいなり”という考えを持っている。
一方の雪彦は、常に移動し続ける生活に強い不満を持つ。人形についても”人間こそが、人形のいいなりになっている”という考え。
これはもう、家出するのも仕方ない。
ところが、家族と再会すると本人が糸で操られたうえ、”成功したのは、人形のおかげ”とか言ってる。”人形に働かされるのはまっぴら”と言っていた、かつての面影はない。
再開後の雪彦が本人なのかは不明だが、なんともまぁ。不憫(ふびん)な人生を送った御仁です。
まとめ
以上、伊藤潤二先生のあやつり屋敷でした。
日本各地を旅する一座の家族。しかし、そんな生活に嫌気がさした長男は家出。
七年後、事業に成功したということで、家族を屋敷へ招待する。
しかし、なんかいろいろ、おかしいわけで…。
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